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2009年5月20日 (水)

松長 昭 『在日タタール人』(東洋書店)

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松長 昭『在日タタール人 歴史に翻弄されたイスラーム教徒たち』<ユーラシアブックレット134>(2009年,東洋書店,600円)

ロシア革命後から朝鮮戦争の1950年代まで,東京・名古屋・神戸・熊本など日本各地にトルコ系民族のタタール人のコミュニティーがあった。在日タタール人はイスラーム教徒であった。在日タタール人たちは羅紗売りの行商などで生計を立て,日本の社会で慎ましく暮らし生き抜いていた。

本書は,ロシア革命とそれに続く内戦を逃れ,旧満洲,朝鮮半島を経て日本に渡来したイスラーム教徒であるタタール人が,在日として過ごした約30年間の歴史を3人のタタール人活動家の足跡を辿りながら検証する。

日本の大陸侵攻における重要な大陸政策の一環として,陸海軍・外務省に利用され,当時無国籍であった彼らが,自らのアイデンティティーを確立し,子孫へと受け継いでいく姿勢は,東京の代々木上原に建設されたモスクや回教学校の開校などからも読み取ることができる。

時局に翻弄されながらも,したたかに戦時下を日本で生き抜き,戦後トルコに移住していったタタール人の知られざる歴史を浮かび上がらせている。

在日タタール人の語り部であった,モヒット・テミンダールさんが3月に亡くなった。在日タタール人の歴史を語れる人がまた逝ってしまった。在日タタール,旧満洲のタタール人の歴史を知ることが日本でもトルコでもますます難しくなりつつある。

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