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2009年7月 1日 (水)

『中央アジア外交 試される地域戦略』(北海道大学出版会)

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宇山智彦,クリストファーレン・レン,廣瀬徹也編著『日本の中央アジア外交 試される地域戦略』<スラブ・ユーラシア叢書>(北海道大学出版会,1800

「豊富な資源と地政学的重要性で注目される中央アジアは,過去のしがらみにとらわれず日本の独自外交戦略が発揮できる場である。その理念・歴史・現状を,国内外の研究者や元外交官など多彩な執筆陣が様々な角度から論じる」と本の帯に書かれている。

第1部 中央アジア外交の理念

第1章 対中央アジア外交の概観 実務レベルでの政策立案者の視点から 廣瀬徹也

第2章 対中央アジア政策の推移 

    シルクロード外交から「中央アジア+日本」へ 河東哲夫

第3章 日本の中央アジアに対する関与をどう理解するか 

    日本の開発戦略の再評価 クリストファー・レン

第4章 ユーラシアへの「価値の外交」は定着するか  湯浅 剛

第2部 歴史・理論・地政学

第5章 対中央アジア外交の歴史的文脈と展望   宇山 智彦

第6章 対中央アジア協力の現状と課題  ティムール・ダダバエフ

第7章 上海協力機構 「反米」ゲームの誘惑に抗して 岩下 明裕

第3部 経済協力と支援

第8章 クルグズスタンは中央アジアにおける日本の最重要パートナーか? 

    エリカ・マラト

第9章 現代グローバル化の下での日本のエネルギー戦略 

    西アジア・中央アジアの場合 嶋尾 孔仁子

第10章 中央アジア地域の経済協力と紛争管理 

    北東アジア諸国の役割  ニクラス・スワンストローム

結語

この本は,日本外交が1991年のソ連崩壊後に独立した中央アジア諸国とどうつきあっていくか試行錯誤していた様子が分かる。故橋本首相が「新シルクロード外交」,麻生外相(2006年当時)が「自由と繁栄の弧」を発表し,中央アジアとの関係を深めようと努力していたことを読み取れる。しかし,戦略があったとしても,それが中央アジアに対して,戦術的に機能したか,あるいは成果があがったかについては,これからも検証が必要であろう。

昨日(6月30日),麻生首相は国際問題研究所で「安全と繁栄を確保する日本外交」と題して,中央アジアを起点にアジアの広域開発に日本が政府開発援助(ODA)を通じて積極的に支援すると講演した。「現代版シルクロード」を軸に,新興国との関係強化を進める新外交構想を提唱した。

日本が中央アジアを重視して頑張ろうとしても,ロシアと中国の中央アジアでのプレゼンスはもう非常に大きくなってしまった。中央アジアは国際外交の駆け引きが行われている。いまさら日本が入っていくのは難しいであろう。独立から20年近くも経過した現在では,中央アジアの首脳たちも政治的にしたたかであり,日本が手玉に取られるだけだと危惧する。中央アジア諸国は汚職で腐敗している。日本のODAが中央アジアの政治家や官僚の腐敗を手助けするだけで,現地の人々の幸福と繁栄に本当につながるか疑問である。それよりも中央アジアから様々な分野の若い人を日本が多く受け入れるような人材育成のほうがいいと思う。

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