『包尓漢画伝』(民族出版社)
『包尓漢画伝』(民族出版社,2006年5月,北京,268元)
ブルハン・シャヒディ(1894-1989)が没して30年経過しているが,彼について回想する動きは北京で政府が一部放送でおこなった程度である。新疆ウイグル自治区成立で果たした彼の役割を考えると,中国共産党はもう過去の人として顕彰することない。彼が漢族であったなら,没後30年に際して,盛大な顕彰が行われるであろう。共産党が少数民族の政治家を大々的に顕彰しないのは,中華主義からすれば当然なのかもしれない。
ところで,ブルハンを顕彰する書籍が多くの興味深い写真を入れて出版されている。漢語とウイグル語の2カ国語で彼の生涯を顕彰している。読者は漢族を想定しているのか,漢語が主でウイグル語が従というような形となっている。しかし,果たして,漢族でこの書籍を購入して読む人はあまりいないと思われる。きっと,購入するのは日本人など外国人かもしれない。この本について新疆のタタール人が教えてくれた。
参考までこの本の目次を掲載する。
第一章 従店員到省政府主席
第二章 改造旧新疆 建設新新疆
第三章 推進民族区域自治
第四章 新中国的 ”和平鴿”
第五章 蒙冤十三載
第六章 金色的晩年
后記
この書籍を読んでいると,タタール人の異民族が歴史に翻弄されて体制内のウイグル族指導者になっていく様子がよく分かる。
毛沢東とブルハンが一緒に写っている写真を下に挙げる。
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