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2009年10月13日 (火)

Taschenwörterbuch Deutsch-Aserbeidschanisch, Aserbeidschanisch-Deutsch

Tashenworterbuhdeutshaserbeidshanis Taschenwörterbuch Deutsch-Aserbeidschanisch, Aserbeidschanisch-Deutsch, Verlagsanstalt Otto Stollberg, Berlin, 1943. 『ドイツ語アゼルバイジャン語・アゼルバイジャン語ドイツ語ポケット辞典』(ベルリン,1943年)

第2次世界大戦中,ドイツ軍はソ連軍捕虜(中央アジア・コーカサス出身の将兵)を,ソ連軍と戦うドイツ軍を支援するコーカサス部隊,タタール部隊などに再編成している。ドイツ軍は少数民族の反ソ感情を利用して,民族部隊の再編成を行っている。同じ頃の日本軍は,捕虜を味方にするような民族工作は,英領植民地出身のインド兵部隊を除いて,成功していない

ソ連軍兵士からドイツ軍支援部隊が編成され,その中にコーカサス部隊があった。このポケット辞典は,アゼルバイジャン出身の兵士のため編集された。語彙数は3000語の簡単なものであった。アゼルバイジャン人の利用を考慮していたから,ドイツ語・アゼルバイジャン語編が先になったいた。ここでのアゼルバイジャン語は,1920,30年代に使われたラテン文字表記である。同じ出版社から《Aserbeidschnischer Sprachführer(アゼルバイジャン語ハンドブック)》も出版されていたようだ。

ソ連国内では,スターリンのロシア主義により,1939年に中央アジア・コーカサスのトルコ系諸語,モンゴル系諸語はラテン文字からキリル文字に切り替えられていた。このポケット辞典が出版された1940年代,ソ連ではトルコ系諸語のラテン文字表記は廃止されていた。この辞典を使用する若い兵士たちはラテン文字表記で教育を受けた者が多かったから,アゼルバイジャン語のラテン文字表記は当時としては適切なものであった。現在では,旧ソ連以外でアゼルバイジャン語が旧ラテン文字表記で出版された文献はほとんどないので,ポケット辞典ではあるが,歴史史料としても価値があるであろう。

第2次世界大戦中,日本軍も現地民との会話に必要な簡単な辞典や会話集を各地で作っていた。戦争は,兵士が外国人との会話に使う,最低限の語彙を含む簡単な辞典や会話集を必要に迫られて編纂させている。簡単な辞典や会話集が戦争中や占領期に多く出版されるのに洋の東西を問わないようだ。このような作業過程で,日本の言語学者や語学研究者の果たした役割について,研究されることはなかった。言語学や語学研究が時代の要請に応えて,アジアの言語研究をしたが,そのようなことの確認は,日本の学会ではしていないようだ。

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