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2010年2月26日 (金)

『古代文字の解読』

高津春繁,関根正雄『古代文字の解読』(岩波書店)を久しぶりに読んだ。故高津教授は印欧比較文法やギリシア語の大家,故関根教授はヘブライ語の大家である。第1章の「言語と文字」の最後に「…例えばトルコ系の言語の最古の資料となったオルコン碑文や西夏文字などは,本書の二人の著者の専門外である上に,文化的にも,また歴史的にもさして重要な役割をもたないものであるので,強いて本書の中に加えることはしなかったことを改めて断っておきたい」と書かれている。

本当に,突厥碑文や西夏文字が重要ではないと言い切れるのか,疑問に思ってしまった。文字の解読(エジプトのヒエログリフ,アッシリアの楔形文字,ヒッタイト文字など)は,西欧の研究者が行っていて,その研究成果はすばらしが,文字の解読以後,「文字学」という視点に立てば,東アジアの漢字は非常に重要であるが欠落している。文字の解読の歴史だけを語っているのであれば,この著作は名著である。しかし,文字学という視点に立つと,東アジアの未解読文字が含まれないのは,著者たちの西欧の学問成果の消化に基づいていたので仕方がないかもしれない。現在の視点にたつと,アジアの部分が加筆される必要があると思える。名著でありながら,再版されないのはそのあたりに理由があるのかもしれない。読み物としては依然として面白いことには変わりない。

文字の解読と文字学については,西田龍雄・京大名誉教授の著作のほうが示唆を与えてくれる。

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