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2010年9月12日 (日)

小林高四郎『イスタンブールの夜』

Istanbulnoyoru 小林高四郎著『イスタンブールの夜 外交余憤録』(一洋社、昭和23年)

故小林高四郎は、元朝秘史研究などモンゴル史の研究家として知られている。戦前、外務省に調査官として入省し、満蒙の調査を行っていた。

第2次世界大戦中、トルコ大使館に赴任することとなった。シベリア鉄道、中央アジア、カスピ海横断、コーカサス経由の陸路でトルコに入国する様子が記録されている。戦前、中央アジアやコーカサスを経由してトルコに入国した数少ない日本人の一人。

トルコ大使館勤務中、トルコが日本に宣戦布告し、大使、公使、陸海軍武官など日本人外交官が大使館に抑留されることとなった。狭い空間に閉じ込められた外交官たちの疑心暗鬼の様子が書かれ、某C公使夫妻のピストル自殺も描写されている。この公使の遺骸は、戦後ご子息(駐英大使)によって、日本に改葬されている。小林は外交官とは言え、戦前の大使館での序列では低く、相当にいやな目にあったことが推察できる。

本人は、サブタイトルで「外交余憤録」としていることから、相当に頭にきたのであろう。しかし、小林はこの本を若気の至りの書物として、古本屋の店頭でみつけると、回収していたという噂がある。小林は愛書家で神保町など古本屋をよく回っていた。そのせいか、この本を古本屋で見つけるのは難しい。この本は、大使館の内部事情以外に、トルコ人学者との交流、アンカラでの生活など戦前のトルコの様子を教えてくれる、数少ない本の一つである。

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