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2010年11月17日 (水)

トルコ:スカーフ問題に関する政府首脳発言(現地報道)

9~11日付のトルコ現地各紙は、イスラム風スカーフ問題に関する政府首脳の発言を次のように報じている。

1. ハイリュンニサ大統領夫人(常時スカーフを着用)は、8日、訪問先のロンドンで在英トルコ人と懇談した。その際、学生の一人が「初等教育におけるスカーフ着用を好意的に見ているか」と質したのに対し、同夫人は「この問題における無知があるとすれば、我々はそれを取り払わなければならない。初等教育の生徒が自分の意志でスカーフを被ることはありえない。これは、自ら決定を下せる年齢に達した時に自分で決定を下すべき事柄である。スカーフ問題で、トルコのエネルギーは何年も空費された。様々な問題がようやく解決され始めている中、スカーフ問題も時間とともに解決されることを望む」と述べた。

2. 9日、滞在先の英国でユヌス・エムレ文化センターのオープニング式典に出席したギュル大統領は、(初等教育でスカーフは被るべきではない)とのハイリュンニサ大統領夫人の発言に賛成するかとの記者団の問いに対し、「完全に賛成である。反対する理由がない」と述べた。

3. 10日、G20サミットおよびバングラデシュ訪問への途次、記者団がスカーフ問題に関するギュル大統領夫妻の発言に水を向けたのに対し、エルドアン首相は、「この件に関して、全ては来年の総選挙の後(に議論される問題)だと考える。新憲法が重要であり、新憲法制定によりこの種の問題がクリアになると考える。私は自由の定義について個人的な考えを明らかにするつもりはない。なぜなら、自由に対する私の信条は大きく異なるからである。この考えを決定機関、特に司法と共有するのがどれほど難しいかは過去に経験済みである」と述べ、初等教育におけるスカーフ着用の是非について、否定も肯定もしなかった。

(過去の関連報道)

2008-01-16 エルドアン首相は、大学や公共の場におけるスカーフ着用禁止の撤廃を試みるとした。憲法改正を待つ必要はないとした。

2008-01-28 トルコの与党公正発展党と野党国家行動党は、公共の場でのスカーフを禁止した憲法と教育法の改正を行うことで合意。憲法10条、42条、高等教育法17条が対象。

2008-01-29 トルコ国会に、公共の場や学校でスカーフを禁止した法律の改正案が提出された。

2008-02-03 アンカラで約12万人の世俗派が、スカーフ解禁に反対するデモを実施、各地でもデモが行われた。

2008-02-06 トルコ国会は、学生が学校でスカーフ着用できるとして憲法改正法案を可決(賛成401-反対110)。第一回投票で、2-3回投票は9日の予定。

2008-02-09 トルコ国会は、大学でのスカーフ着用を可能にする憲法修正案の第2回投票を行い、賛成411、反対103で可決。反対は、共和人民党、民主左派党等。同法案は、大統領承認に付される。

2008-02-22 ギュル大統領は、大学内でのスカーフ着用を認可する憲法修正案を承認。共和人民党は、憲法裁判所に修正の取消しと求めると報道された。

2008-06-03 憲法裁判所は、大学でイスラム教徒の女性が着用するスカーフ(ヒジャーブ)の着用を許可する法律を無効にするか否かを審議するとした。

2008-06-05 トルコの憲法裁判所は、2月の国会が可決した大学内でのスカーフ着用認可の法案は、世俗主義の原則に反するとの判断を示した。

2008-06-06 与党の公正発展党は、最高憲法裁判所が、大学でのスカーフの着用を合法とした判決を覆したことを、憲法に違反しているとして批判した。

2010-10-19 トルコのギュル大統領は、18日より同国を訪問中の独国のウルフ大統領夫妻を大統領府における歓迎式典で出迎えた。ギュル夫人は、常時イスラム風スカーフを被っているという微妙な問題から、ギュル大統領の就任以来、大統領府での歓迎式典には参加してこなかったが、今回は出席した。なお、ウルフ独大統領は、独大統領として初めてトルコ国会で演説を行い、両国がNATO加盟国として責任を共有していると述べた。

報道を見ていると、トルコが国是としてきた世俗主義は、徐々に変化していことは間違いない。政府だけではなく、トルコ国民もそれを否定しない、雰囲気と方向に向かいつつあるようだ。

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